研究会主催イベントレポート

(2025.01.10)


水素エネルギー研究会 第1回役員会開催!!
いよいよ研究会活動が本格始動へ

2024年12月23日、東方通信社(東京都千代田区)で水素エネルギー研究会の第1回会合が行われ、最高顧問の入交昭一郎氏(元本田技研工業㈱副社長)や村越政雄会長(㈱ムラコシホールディングス代表取締役)のほか、全国各地の地域経済を牽引する中核企業の代表を務める副会長たちが集まった。会ではまず、事務局の東方通信社の古川猛があらためて発会主旨を述べ、月刊『コロンブス』2023年5月号の水素エネルギー特集から現在までの水素エネルギー研究会連載記事誌面について振り返った。その後、水素エネルギー研究会の紹介動画「日本の目指すべきカーボンニュートラルの社会実装」を視聴し、研究会ホームページの制作や会員特典などについて事務局から説明、入交氏からは以下の講話があり、これを受けて村越会長は「入交先生のこうした話を世の中に広げることが重要。研究会の活動を通じて次世代の若者たちに道をつくろう」と研究会の存在意義について役員たちに呼び掛けた。

コロンブス2408
研究会の本格始動を祝し乾杯

入交昭一郎氏の講話:
アメリカではバイオ燃料が普及、EUでは水素銀行が始動
日本は次世代燃料の投資や普及に向けた国家プロジェクトが急務だ!!

今後、2050カーボンニュートラルに向けてe-fuelを普及させていかねばならないが、それまでの過渡期の〝つなぎ〟としてバイオ燃料の導入も大事だ。が、日本はこの分野でも出遅れている。アメリカではガソリンに10㌫のバイオエタノールを混合した「E10」と呼ばれる燃料が広く普及しており、「E20」も広がりつつある。一方、日本ではエネルギー事業者の反対などもあってなかなか具体的な動きがなかった。こうしたなかでようやく2024年12月、経済産業省と産業界の議論を経て、2030年代のできるだけ早期に「ガソリン車は新車のすべてをバイオエタノール20㌫混合ガソリン(E20)に対応できるようにする」という方針が固まった。
他方、ヨーロッパではEU委員会が「欧州水素銀行(European Hydrogen Bank)」の取り組みをすすめている。これは欧州連合(EU) の脱炭素技術普及(2030年までに域内製造1000万㌧、輸入1000万㌧が目標)に向けた財政支援策のひとつで、現状では水素の生産コストは1立方㍍当たり50~100円かかっているが、これを30円で販売できるよう水素銀行が価格差を補填、域内のグリーン水素生産事業者に対して水素1㌔㌘につき固定額の奨励金を10年間支給する。予算は8億ユーロ(約1300億円)、初回パイロット案件の入札が2023年11月に実施された。そして翌4月には応募総数132件の中から7件(水素年間15.8万㌧相当)の落札が公表された。
このように、EUはとにかく「国としてこの方針を何としても実践していく」と宣言し、具体的な法整備や施策を打ち出している。そのスピードは速く、日本は投資を含め後手に回っている。カーボンニュートラルや水素供給・利用の促進などを「戦略」として掲げてはいるが、それをどの企業がどう担うのか、どういったスケジュールですすめていくのかはまったく誰も示していない。ヨーロッパのように具体的な法整備をすすめ、補助をしたうえで強制的にイーフュエルや水素のビジネス利用を活発化させねばならない。安価かつ大量のカーボンニュートラル燃料を得るためには安価な電力でつくるしかないわけだから、日本はサウジアラビアやチリ、オーストラリアといった国々への投資を加速させるしかない。

コロンブス2408
水素エネルギー研究会最高顧問、元本田技研工業㈱副社長
入交昭一郎氏(83歳)