カーボンニュートラルニュース vol.75
(2026.03.19)
北海道の三笠市で石炭燃焼ガスから
水素を製造する
実証実験火力発電所廃止で、
石炭のあらたな需要先としても期待
かつて炭鉱で栄えた北海道の三笠市は石炭のあらたな需要創出として、室蘭工業大学、エア・ウォーター㈱、大日本ダイヤコンサルタント㈱と協力し、ボーリングによる地下での石炭燃焼のガスと地上での石炭と木質バイオマスの混焼ガスからブルー水素を製造する取り組み「ハイブリッド石炭地下ガス化(H-UCG)事業」をすすめている。
石炭燃焼で生じるガスから水素を取り出し精製することと、水素製造時に発生するCO₂を地下に残る炭鉱採掘の坑道跡に埋めて固定化することが事業の2本柱。CO₂地下固定化実験については2022年、24年と過去に2度行われたが、25年9月から10月にかけて、水素製造の実証実験が同市の旧奔別炭鉱で実施された。
地下での石炭燃焼実験は、暫定的にすでに露天掘りされた石炭採掘場でボーリングして石炭を燃焼。その石炭ガスと、地上で石炭と木質チップを混焼して生じたガスを集めて、エア・ウォーター㈱が膜分離装置とPVSA式(真空再生方式)水素発生装置を用いて精製、1時間あたり1立方㍍弱のペースで純度99.99㌫の水素を製造できた。「生産量はごくわずかだが、今回は量よりも質を目的に行った実験だったので成功したといえる」(三笠市産業政策推進部産業開発課)とのこと。ただ、「生産コストはまだ採算に合うものではない」(同上)というように、コスト削減が今後の課題となる。
なお、1ノルマル立方㍍あたり約30円という生産コストが国の目指すひとつの目標とされる。現在三笠市の炭鉱や近隣5カ所の炭鉱で合計、年間約30万㌧の石炭を採掘し、北海道電力砂川火力発電所で使用されているが、同発電所は27年度での廃止が決まっている。これら30万㌧の石炭をすべて水素製造に回すと49円という試算がされており、スケールメリットを活かすことで国が目指す目標に近づけることができる。
「山深い場所でのボーリングやCO₂の地下固定化など、まだ技術改善しなければならないことは多いが、H-UCGの実用化に向けて事業はつづけられる予定」(同上)としている。