カーボンニュートラルニュース vol.55

(2025.09.26)


富山県南砺市と東京の
スタートアップ企業が
水素実証プラントで協定締結
木の枝などの有機性廃棄物で
生成した水素を生かして再エネ化


 富山県南砺市と東京のスタートアップ企業・㈱BIOTECHWORKS-H2は、有機性廃棄物で水素を生成する実証プラントに関する協定を交わした。企業側は市が無償提供する清掃センター跡地に水素生成プラントをつくり、2027年度から市がせん定で集めた木の枝で水素を生成し、再生エネルギーとして活用できるようにする。

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協定書を交わし、握手する南砺市の田中幹夫市長(左)と西川明秀社長=南砺市役所

 協定の締結式は7月に南砺市役所で行われ、田中幹夫市長は「廃棄物を処理してエネルギーに変えるといこことは、夢のような話。南砺市からこの事業が全国に広がり、環境と地域経済の両立を実現するモデルになることを期待します」と話した。有機性廃棄物からの水素生成については、廃棄物に含まれる不純物の前処理が課題になっていた。

 同社は廃棄物の成分分析によって素材の最適化を図った上で、ガス化溶融技術を使って水素を生成。燃料電池を活用して再エネルギー化する。実証プラントでは、一般家庭30世帯分にあたる最大500㌔㍗の発電を見込んでいる。

 環境省によると、国内で発生する一般廃棄物は年間約4000万㌧。このうち約6割が焼却処理されており、二酸化炭素の排出削減が課題になっている。㈱BIOTECHWORKS-H2の西川明秀社長は「40年前に映画で描かれた、ごみがエネルギーになる未来はまだ実現していない。私たちはこの夢を南砺市から実現し、日本中そして世界へと広げていきたい」と話している。

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水素生成プラントの模型
写真提供:㈱BIOTECHWORKS-H2