カーボンニュートラルニュース vol.37

(2025.07.10)


竹中工務店と那須電機鉄工が
安全で小型の水素タンクを開発

コロンブス2507
「新開発された水素吸蔵合金タンク(キャップなし)」。接続部にはワンタッチで着脱可能なクイックコネクターを採用

  ㈱竹中工務店と那須電機鉄工㈱は共同で、直径140㍉㍍、高さ606㍉㍍、重量29㌔㌘と人力でも運搬できるサイズの小型軽量の水素タンクを開発した。水素ガスを数100から1000分の1程度の体積にして貯蔵できる「ナノ化鉄チタン水素吸蔵合金」を用いたタンクで、安全性に優れ、宅配便などでの配送も可能とされている。
 「ナノ化鉄チタン水素吸蔵合金」は那須電機鉄工が開発した合金で、水素を吸蔵し、合金の加熱・冷却により水素の放出・吸蔵を繰り返し行うことができるという特徴を持つ。火炎を近づけても着火しないため消防法の危険物に該当せず、また放出される水素ガスの圧力も1MPa未満で高圧ガス保安法の適用範囲外のため、特別な資格がなくても取り扱うことができ、さらに内部に独自の熱交換構造を取り入れ、小型化による燃料供給量の低減も克服しているのが長所。また、タンク接続部にはワンタッチで着脱可能なクイックコネクターを採用し、使いやすさも追求されている。
「実用化はこれからだが、あわせて用いる電源装置の開発もすすめている。どのような場面で使えるか、幅広い用途の可能性を探っているところだ」(竹中工務店)という。水素配送網のない災害場所や建設現場での活用、あるいは非常用電源設備のひとつとしての利用などが期待されている。

カーボンニュートラル0407-3
水素サウナルーム(イメージ図)