カーボンニュートラルニュース vol.25

(2025.05.22)


東京都が昨年度に続いて
グリーン水素のトライアル取引を実施
水素製造設備の実装支援は大幅に拡充

コロンブス2505
グリーン水素トライアル取引の概要図

 東京都は5月14日(水)と30日(金)、昨年度につづいて日本取引所グループ(JPX)のウェブサイト内に設置した特設サイトで、グリーン水素価格を入札できめる「令和7年度第1回東京都グリーン水素トライアル取引」を実施。取引対象となる水素グレードは前回と同じく燃料電池での使用を想定した「ISO14687GradeD」。仕組みについても、供給側が販売価格と受け渡し数量を提示し、利用側が希望購入価格と購入数量を提示するダブルオークション方式を採用、価格差は都が補填するなど前回同様となる。ただ、異なる点は14日に先に入札した供給側の落札者名を利用側の入札希望者に通知し、その後、利用者側の入札を実施する方式を採用すること。「前回取引時に『入札参加の判断材料として契約相手方を事前に知りたい』という利用者の声があったので、今回は供給元を明確にすることとした」(東京都産業・エネルギー政策部水素取引推進担当)という。
 都は25年度、グリーン水素の製造から利用までの一連の設備実装に対する支援を拡充する。水素製造装置や貯蔵装置、燃料電池などの設備をワンパッケージで同一事業所内に導入する場合、水素製造能力10Nm³/h(※)以上で4億円、同10Nm³/h未満で3億3000万円を補助。水素製造能力に関わらず一律に2億5300万円だった前年度からは大幅に補助額が増加する。ワンパッケージ以外でも同10Nm³/h以上で2億8000万円、同10Nm³/h未満で2億4000万円を補助(前年度は一律に1億7700万円)する。そのほか、グリーン水素製造のための再エネ電力製造設備をつくる際の補助に関して、最大5400万円を引きつづき補助するが、同設備での水素製造以外の発電部分にも3分2、または1㌔㍗あたり20万円の低いほうをあらたに補助することに。以上は「物価高騰も加味しての措置」(同上)とのこと。申請は26年3月31日(火)まで。

*Nm³/h……1時間あたりに流れる気体の体積(ノルマル立方㍍毎時)を表す単位。

コロンブス2505
グリーン水素製造・利用の実機実装支援の補助率一覧表。補助対象設備は純水素型燃料電池、水素燃料ボイラー、温水発生機、水素バーナー、ディスペンサー