カーボンニュートラルニュース vol.22
(2025.05.12)
NEDO助成の
ブルーアンモニア製造設備が
実証運転開始へ
将来の大型化に向けて課題抽出

経済産業省が2030年に300万㌧、50年に3000万㌧と試算する日本国内の将来の燃料アンモニア需要増を見越して、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は㈱INPEXが新潟県柏崎市で取り組む「ブルーアンモニア製造に係る技術開発」の費用の2分の1を助成。原料となる天然ガスを改質してブルー水素にし、さらにその水素からブルーアンモニアを製造する技術で、水素とアンモニア製造の際に副次的に生まれるCO₂は大気中に放出せず、分離回収・圧縮して貯留する。CO₂回収にはアミンというCO₂と結合しやすい化合物による化学吸収法を採用、製造プロセス全体のコスト削減もはかる。ちなみに、なぜ水素からアンモニアを製造するかというと、水素より常圧、-33℃で液化するアンモニアのほうが運搬・貯蔵コストが低いことが理由。
2022年度から25年度までの事業で、「24年度には水素製造装置とアンモニア製造装置、CO₂回収装置の設計とそれらを組み合わせたプロセスの設計は完了しており、現在は実証設備の建設を行っている状況。間もなく試運転される」(NEDO水素・アンモニア部)という。安定した運転を確立した後で各種運転パラメーターを設計範囲内で変動させ、最適な運転モードを検証する。実証段階でのアンモニア製造規模は年間500㌧だが、将来の大型化(6000㌧/日程度)に向けて課題抽出も行っていく。
なお、今回の実証試験ではアンモニア合成触媒技術とアンモニア製造設備設計は東京科学大学発のベンチャー・つばめBHB㈱が担当しており、ブルーアンモニアの製造分野では今後も高い技術を有する企業の参入が期待されている。