カーボンニュートラルニュース vol.21
(2025.05.12)
ガラス工業炉での
アンモニア燃焼でCO₂排出量削減
2025年度中に1MW規模での技術確立を目指す

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、ガラス工業炉でのCO₂排出削減対策として、燃焼時にCO₂を排出しない燃料アンモニアを利用する技術開発をすすめている。
2021年度から25年度までの事業で、NEDOから委託された大陽日酸㈱(燃料アンモニアを使ったバーナーの開発)、AGC㈱(ガラスの実生産炉を使用した燃料アンモニアバーナーの実証試験)、国立研究開発法人産業技術総合研究所(ラボスケールの燃焼試験)、東北大学(燃料アンモニアの燃焼機構の理論的解析)の4機関が連携し、加熱制御など要求水準が高いガラスメーカー向け小・中型工業炉での〝アンモニア―酸素燃焼〟の実証試験を実施した。24年度までに200kWでの実証試験に成功し、アンモニアの燃焼時に排出されるNOx(窒素酸化物)のガラス溶解炉での規制値をクリア、「溶解性能や生産設備、製品に対する影響も、従来技術と比較して現状では大きな違いはない」(NEDO水素・アンモニア部)という。最終年度となる25年度中には1MWへのスケールアップを目指すとしている。
アンモニアは農業用肥料を中心に年間100万㌧超の国内需要があり、従来用途の規模の生産手法はすでに確立されている。燃料アンモニアのサプライチェーンの整備と、コスト面が課題だ。