カーボンニュートラルニュース
(2025.04.14)
五島列島ですすめられる
潮流発電の実証試験
5~6月には
国内初の電力網への送電が開始

九電みらいエナジー㈱は長崎県五島市の奈留島(ルビ:なるしま)と久賀島(ルビ:ひさかじま)の間にある海峡「奈留瀬戸」において、環境省から受託した「潮流発電による地域の脱炭素モデル構築事業」(2022年度から25年度)に取り組んでいる。大型潮流発電機の改造工事と同発電機の海底への再設置作業が完了し、現在は送電に向けた調整や試運転がすすめられているところだという。
今回の実証事業の先行事業にあたる「潮流発電技術実用化推進事業」(19年度から21年度)では、英国のメーカーから輸入した出力500㌔㍗の潮流発電機を海底に設置して11カ月間、実証運転し、得られた電力を奈留島に設置した負荷装置で計測・消費してきたが、今回の実証事業ではこの潮流発電機を陸上にあげて改造工事が施された。工事は三菱長崎機工㈱が担当。発電量を増やすために潮の流れに応じて発電機の向きを変える「ヨー制御」に加え、発電出力を高めるために流速に応じて羽の傾斜を変える「ピッチ制御」を導入するというもの。その結果、出力は1100㌔㍗に増加、設備利用率を25㌫とした場合、年間発電量は241万㌔㍗時が見込まれることになり、これは約800世帯の年間消費量に相当する。さらに今回の実証事業では、得られた電力は五島市の電力系統を介して送電される予定で、今年5~6月をめどにはじめるとしている。
五島列島以外での潮流発電の展開についても、九電みらいエナジー担当者は「とくに九州の島々や瀬戸内海など西日本に潮の流路が狭まっているところが多く存在し、潮流発電の可能性は大きい」と意欲的。潮流発電は離島など特定地域での脱炭素の有力な武器になりそうだ。
