カーボンニュートラルニュース
(2025.04.03)
大手が水素事業を展開する
神戸で立ち上げられた
「神戸水素クラスター」
研究機関などとの連携も進み、
10社近くが水素関連製品を開発

神戸市の支援を受けながら、(一社)神戸市機械金属工業会の有志企業20社が集まって水素エネルギー関連の技術・製品開発をすすめようと2015年に「神戸水素クラスター」を立ち上げて10年となる。「神戸では当時から、川崎重工業㈱が豪州から液化水素をタンカーで運ぶという大型プロジェクトを手掛けていて、研究シーズも多く、神戸市などの自治体も水素関連事業への支援策を打ち出しており、資金力の少ない中小企業でも水素開発をすすめられる下地があった」と黄勝義・神戸水素クラスター会長は発足の背景について話す。
当初、水素製品を実際に開発している企業はなく、勉強会としてのスタートであったが、事務局が中心となり会員同士の情報交換をすすめるとともに、神戸大や兵庫県立大といった水素研究に関心のある大学・研究機関、他自治体、企業との連携をすすめたことで、現在では水素関係の製品を生み出している。現在、会員企業数も34社に増加した。
神戸水素クラスターでの活動を通して誕生した製品の主なものとしては、たとえば㈱山本電機製作所が開発した液体水素タンク内の水素残量を測定するセンサがあげられる。超伝導線材を採用し、長さを自由に調整できるセンサを液中に差し込むだけで測定できるという画期的な製品。大学などと連携して開発されたという。また、阪神機器㈱では純水素燃料電池発電システム「Hydro®eLife」を開発。制御などの技術はもともと同社にあったものだが、クラスターでの勉強会のなかで将来的なニーズやアドバイザーからの水素関連技術などの情報を得ながら開発に踏み切ったという。具体的な製品開発を行った会員企業はまだ10社程度だが、マーケット次第ではさらに増える見込みだ。
「脱炭素社会の実現という信念を抱き、同じ想いを持つさまざまな方と協力しながら活動していきたい」と黄会長。将来の水素エネルギー社会を構想している。
