カーボンニュートラルニュース

(2025.03.31)


岩手県岩泉町で「小水力発電導入可能性調査」を実施
調査した全13地点で80kW以上を記録

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小水力発電候補地の位置図。山間部の13地点で調査が行われた

岩手県岩泉町には高低差の大きな河川が多くあり、その土地柄を活かした小水力発電の導入を推進するため、このほど同町は「小水力発電導入可能性調査」を実施した。小水力発電とは河川の流れを利用してタービンを回し、24時間・365日、安定した発電を行うもので、大規模な土木工事を必要としない環境に優しいエネルギーとして期待が高まっている。すでに栃木県や富山県など積極的に取り入れている自治体もある。岩泉町の山間部にはこれまで民間企業による独自の調査も行われているが、今回、同町では31カ所の候補地を選定し、さらにそのなかから概算出力80kW以上が見込まれる13カ所を机上でピックアップして現地調査に臨んだ。現地調査では施工条件、既設水利施設の有無、流量、周辺環境、電柱などの状況を確認。その結果、全13地点とも80kW以上を記録。施工条件や流量、周辺環境なども適性で、全地点で事業化可能性アリと判断された。最大の出力を記録したのは松ケ沢で243kW、清水川も215kWに。ちなみに、80kWあれば約117世帯分の電力をまかなえるといわれており、13地点の全出力を集めればかなりの電力量になる。エネルギーの地消地産を実現するために「町では『地域新電力』の設立も予定している」(岩泉町政策推進課環境エネルギー室)と意気込んでいる。「今回の調査はあくまでポテンシャルがあるところを測っただけ」(同)で、まだ具体的な事業化プランができたわけではないが、将来の事業化に向けて期待の持てる結果となった。

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小水力発電候補地の概算出力。どの地点も80kW以上をクリアした