カーボンニュートラルニュース
(2025.03.27)
使用済み食用油からSAF製造へ
サーキュラーエコノミーを推進

サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現を目指す和歌山県で、今は捨てられている家庭から出る使用済み食用油を回収し、次世代の持続可能な航空燃料(SAF)などに利活用する仕組みの構築がすすんでいる。このほどENEOSと三菱商事がENEOS和歌山製造所におけるSAFの製造に関する基本設計を共同で行うことで合意。2023年に製油所機能を停止したENEOS和歌山製造所(有田市)で、28年度以降をめどに年間約30万㌧のSAFを製造する計画だ。24年度には経済産業省の支援事業にも採択され、計画が勢いづくと期待されている。
このSAF事業は当初、26年度にはじまる予定だったが、エンジニア不足などの影響で2年ほど後ろ倒しとなった。今後、県はこの事業をはじめとして化石燃料からクリーンエネルギーへの転換をすすめ、環境保護と経済成長の両立をはかるGX(グリーントランスフォーメーション)に取り組んでいく構えだ。県は「事業が本格化すればGXに関わる企業は増える」とみている。「製油所機能の停止で失われた雇用は、それに代わるSAF事業を軌道に乗せることで、将来の雇用回復にもつながるはず」と期待を寄せている。
県は、スーパーや資源リサイクルセンターなどに回収拠点を設置し、家庭から出る食用油の回収を行っている。県内のSAF事業を好機として、これまで捨てていた食用油は価値ある資源なのだという認識を広め、県民のサーキュラーエコノミーへの理解の醸成を深めるためにも、こうしたSAF事業を後押ししている。
【問】和歌山県成長産業推進課 073-441-2354