カーボンニュートラルニュース
(2025.02.05)
「東京都が世界初となる市場形式での水素取引を実施
取引ルールを透明化し、2マッチングが成立
1月24日に行われた東京都グリーン水素トライアル取引供給記念セレモニーにて。取引開始を祝う小池百合子東京都知事
2東京都は2024年12月、日本取引所グループ(JPX)のウェブサイト内に設置した特設サイトで、グリーン水素価格を入札できめる「グリーン水素トライアル取引」を実施した。供給側が販売価格と受け渡し可能な数量を提示するとともに、利用側も希望購入価格と購入数量を提示する「ダブルオークション方式」を採用(極端に安価または高額な入札ができないよう入札価格の上下限も設定)、販売価格に希望購入価格が届かなかった場合の価格差は都が補填する。
取引の対象となるグリーン水素は「ISO14687GradeD」に準拠した水素に限定。これは水素純度99.97㌫以上の水素を指し、主に燃料電池での使用を想定したものだ。また、水素の輸送方式はトレーラー輸送コースとカードル輸送コースの2コースを設定したほか、トレーラーやカードル1基あたりの容量や受け渡し時期など取引内容を細かく定め、この条件にかなう取引参加者が公募された。
実際に入札があったのは供給側から1者、利用側からはトレーラーとカードルコースそれぞれ2者ずつの合計4者だった。その結果、供給側の落札単価(売値)は300円/N(ノルマル)立方㍍で、これを2025年1月から3月にかけてトレーラーで週2回、カードルで計10回、購入企業のもとに輸送することに。利用側の落札単価(買値)はトレーラーで運ぶものが89円/N立方㍍、カードルで運ぶものが230円/N立方㍍であり、これらの買値と売値300円/N立方㍍との価格差(トレーラー211円、カードル70円)は都が補填する。
今回の市場形式での水素取引は世界初となる画期的な試みだ。あくまで一定の条件内での取引であり、すべての水素利用者に市場が開かれたものではなかったが、「それでも水素に関して、一般にも見えるルールを設けて取引が行われたことに意義がある」と東京都産業・エネルギー政策部の水素取引推進担当者は話している。都では25年度以降も同様のトライアル取引を行う計画をすすめており、より多くの企業が参加しやすいルール作りをはかるとしている。
グリーン水素トライアル取引の仕組み