(2024.12.20)
「産学官連携で研究開発がすすめられる
水素燃料電池タイプの電動モビリティ
2024年10月15日~18日、「Japan Mobility Show Bizweek 2024」(幕張メッセ/千葉県千葉市)に電動マイクロモビリティ「ChatKart(チャットカート)」の水素燃料電池タイプが出展され、話題になった。チャットカートはHundredths㈱(ハンドレッス/長野県塩尻市)が開発した、公道走行できる安全な一人乗りの特定小型原動機付自転車で、もともとシニア層が安心・安全に移動できる乗り物として23年に発売されたものだ。
今回、出展されたチャットカートの燃料電池タイプは、同社と東京工科大学(東京都八王子市)、㈱菊池製作所(東京都八王子市)、東京都立産業技術研究センター(東京都江東区)が産学官連携で開発。動力源は基本、リチウムイオンバッテリーだが、サブ電源として水素燃料電池を使っており、水素は取り扱いが容易な低圧水素ボンベで供給する。ハンドレッス代表取締役の長谷部敬太氏によれば「ボンベを取り換えることでそのつど走行距離を延ばせるため、コンビニエンスストアなど町なかにカートリッジボンベを取り扱う拠点をつくれば、バッテリー切れを気にすることなくマイクロモビリティで移動できる」という。まだ試作段階だが、開発に携わった東京工科大学サステナブル工学科の学生のひとり、荒井大地氏は「燃料電池の発電効率や走行距離の検証など、社会実装に向けた実験と研究を重ねていきたい」と意気込んでいる。
同社ではこのチャットカートについて、燃料電池だけでなくソーラーパネルや自動運転技術の活用なども視野に入れた研究開発をすすめ、「地域におけるグリーンスローモビリティシェアサービスの可能性を模索していく」(前出、長谷部氏)としている。高齢者などの安全・安心な移動を支えるだけでなく、クリーンで持続可能な脱炭素社会の実現にも貢献するマイクロモビリティの今後の展開を期待したい。
※ チャットカートの水素燃料電池タイプについては、月刊『コロンブス』2025年2月号にあらためてより詳しい取材記事を掲載予定です。
