第14回 水素エネルギー研究会
(月刊『コロンブス』2024年12月号掲載)
東京都が水素国際会議
「HENCAヘンカ Tokyo 2024 ‒ Hydrogen Energy Conference for Action」を開催
グリーン水素の社会実装」をテーマに
ドイツ、オーストラリア、チリ、日本などの
エネルギー関係者が徹底議論!!
2030年カーボンハーフ(温室効果ガス排出量半減)とその先の2050年ゼロエミッションの実現を目指し「東京水素ビジョン」を掲げている東京都。水素エネルギーの社会実装に向けた取り組みを加速するため、24年度に合計203億円(前年度114億円)の予算を計上し、民間事業者のグリーン水素製造・利用事業を対象に助成策を打ち出し、都みずからもグリーン水素製造事業をすすめている。
と同時に、都はドイツの政府や企業などが設立したH2グローバル財団と連携協定を締結したり、オーストラリアのニューサウスウェールズ州政府と水素のサプライチェーンや技術開発などで協力する旨の合意書を締結し、水素エネルギーに関する国際的な連携に力を入れている。
こうした国際連携を広げようと昨年、初開催したのが水素国際会議「HENCA」だ。東京都産業労働局 産業・エネルギー政策部水素エネルギー推進担当課長の村野哲寛氏(38歳)によれば「第1回目は2030年の水素エネルギー社会実装化をテーマとしたが、今年の10月22日に開催した第2回目では『グリーン水素の社会実装化の加速』にテーマを設定した」という。当日は世界各国のエネルギー担当や研究機関のほか、エネルギー関連企業の関係者たち、そして小池百合子東京都知事らがリアル、オンラインで集まり議論を交わした。
各国エネルギー関係者が
国際連携の重要性を強調
パネルディスカッションでは、グリーン水素のサプライチェーン構築に向けて協力、連携し合うことの重要性が話題に。たとえば先述の通り、東京都と国際的パートナーシップを結んだ豪ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州の気候変動・エネルギー・環境・水資源省事務次官のアンソニー・リーン氏は「豊富な再生可能資源と熟練した労働力、そして整ったインフラを持つNSW州は、グリーン水素の製造と輸出をリードする環境にある。
総額30億豪ドルの助成プログラムを含むNSW州水素戦略や再生可能燃料戦略などによって技術革新やコスト削減を促し、グリーン水素を実用的で競争力のあるエネルギー・ソリューションにしていく」と話した。日本とのパートナーシップについても「知識と資源を共有することでともに成長し、世界的なエネルギー転換から得られる環境的・経済的利益を分かち合う」ために重視していく、とのことだった。
豪ニュー・サウス・ウェールズ州 気候変動・エネルギー・環境・水資源省 事務次官
「2040年までにトップ3のグリーン水素輸出国になることを目指しているチリは、クリーン燃料製造における優位性とその高い輸出競争力について国際的評価を受けている」と話したのはリカルド・ロハス駐日チリ共和国特命全権大使。
同国エネルギー省は2023年4月に経済産業省と「エネルギートランジションに関する協力覚書」、同年8月にJBIC(国際協力銀行)と「戦略的協力に関する覚書」を締結しており、氏は「グリーン水素について日本は重要なパートナー」と強調していた。 東京都と連携協定を結んでいる独H2グローバル財団会長のマルクス・エクセンベルガー氏も「日本やそのほかの国々との戦略的連携により、グリーン水素の社会実装化を推進する唯一のグリーンマーケットメーカーであることを誇りに思っている」と話した。どうやら各国とも、国際的な枠組みを模索しているようだ。
豪ニュー・サウス・ウェールズ州 気候変動・エネルギー・環境・水資源省 事務次官
駐日チリ共和国 特命全権大使
独H2グローバル財団 会長
もちろん、小池百合子東京都知事も「この地球規模の課題に対しては、世界の国、都市、企業、団体の皆様との協働が不可欠」と強調し、「ともに取り組みをすすめることが、世界の脱炭素化・持続可能な社会を確実に引き寄せる」と締めくくった。
川崎重工業㈱ 取締役会長
東京都知事
ENEOS㈱ 執行理事 水素事業推進部長
水素取引所の立ち上げに向け
トライアル取引を準備中
東京都では今、小池都知事の掛け声で「水素取引所」の立ち上げに向けた取り組みがすすんでいる。
「今年度はトライアル取引を実施し、国内におけるグリーン水素の買い手と売り手とのマッチング事例を創出したい」(前出の水素エネルギー推進担当課長 村野氏)としている。HENCAの開催を機に国際連携がすすみ、さらに東京主導の水素売買のためのマーケットが開かれれば、国内における水素生産や活用の動きは一気に活発化する。
引きつづき動向をウォッチしていきたい。




